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4. 3時間目

いよいよ文字入力です。国語でローマ字を勉強してから、と思われる場合が多いのですが、パソコンでの「ローマ字入力」は、国語で習うローマ字ではありません。これは、文字をパソコンの画面に「作る」方便で、書かれたアルファベットを直接読むローマ字とは別の物です。ローマ字と違って、「正しい」キーの使い方があるわけではありません。しかし、効率のよいやり方、覚えやすいやり方はあります。この時間は、この「覚えやすい」やり方で、一気にローマ字入力を覚えてしまいましょう。1年生でも大丈夫です。(※)
ただ、漢字仮名混じり文を効率よく入力することは、簡単には覚えられないので、ここでは平仮名の作り方だけをできるようになります。
また、文字入力する際に覚えておきたい、画面の見方や、字を消す方法なども、一緒に解説しています。

※ここで説明する「覚えやすい」ローマ字入力のやり方は、文字入力に使うキーがもっとも少なく目的のカナ文字を作る、「効率のよい」やり方も目指しています。これはあくまでも、パソコンの画面に平仮名を作る手段としてのアルファベットキーの使い方で、国語で学習する「ローマ字」ではないことを、十分ご理解の上、お読みください。
  

アルファベットキーは26個ありますが、これを、役割を考えて二つに分けます。それは、文字を「作るボタン」と、字を「決めるボタン」です。「作るボタン」はたった5個。あとは全部「決めるボタン」です。この5個は、『母音』(AIUEO)です。

ローマ字入力では、母音のキーを押すと、必ず画面にカナ(通常平仮名)を作ることができます。どんな平仮名になるかは、母音の前に押した「決めるボタン」子音のキーで決まります。
子音の最後に「Y」をつけておくと、母音のキーを押したときに小さい「やゆよ」がついた字になります。原稿用紙では、「きゃ」はマスを二つ使いますが、「KY」のあとに母音のキーを押すと、「きゃ」のように大きい文字と「ゃゅょ」が一緒に作られるので、これを1文字と考えるとわかりやすいです。子音の初めのキーを2度押しておけば、小さい「つ」のついた平仮名になります。「KKY」に「A」をつければ「っきゃ」、これも、母音一つで作ることができるので、1文字と考えられます。

コンピュータで平仮名を書くときは、まず字を「決めて」から、「作り」ます。
濁点や半濁点も、字を作ってからつけるのではなく、初めから「飾り付きの字」として「決めて」おきます。
ローマ字入力のしくみはこれだけです。あとは、「しくみのわかる50音表」(エクセルファイル 120KB)を見て、書きたい文字を探していけばいいです。
  
通常、「ローマ字」の表では、平仮名1文字ごとに、ローマ字入力で使うアルファベットが書かれていますが、この50音表では、個々の平仮名に対し、対応するアルファベットは書かれていません。初めてローマ字入力に挑戦するときは、次項からの説明に沿って練習していくのがいいと思いますが、少しやったことのある場合では、この表の使い方を覚えるだけで、楽に入力できます。使い方は、次のようになります。

まず、書きたい平仮名を表から探します。上に書いたように、小さい字と、濁点や半濁点は、「飾り付きの字」を探します。見つけた平仮名から左に辿ると「決めるボタン」がわかります。「決めるボタン」は、5個の平仮名の「仲間」を決めます。
次に、同じ平仮名から上に辿れば「作るボタン」がわかります。
この順にキーを押せば、平仮名を画面に作ることができます。

「AIUEO」のどのキーを使うかは、音にするとわかります。つまり、「か」なら、「か〜〜〜ぁ」とのばして、「あ〜〜〜ぁ」となる母音「あ:A」です。これなら、すぐ見つけられますね。ですから、字をコンピュータで「書く」ときは「決めるボタン」を早く覚えることが、素早く画面に字を「作る」ことに繋がります。

表では、「ふ:FU」と「じ:JI」だけが、あらかじめ記入されています。これは、タッチタイピングを考えたときに「HU」「ZI」より速く入力できるので、こちらをお勧めするためです。最終目標は、できるだけ効率よく、素早く、漢字仮名混じり文を作ることです。3時間で、タッチタイピングまでは練習できませんが、この入力キーは覚えておいてほしいです。
唯一の例外は「ん:NN」です。これは、慣れてくれば省略した入力もできますが、ここではとりあえず、そのまま覚えましょう。
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まず、ワードなどのワープロソフトを開きます。
ワープロの画面を見ると、開いたすぐでは、1行目の先頭に、縦棒が点滅しています。これが「文字入力カーソル」です。パソコンは、マウスではその矢印の先端を見ている、と言いましたが、文字入力では、この「文字入力カーソル」を見ています。この位置に、入力した文字が表示されます。これが画面にないときや、あっても点滅していないときは、文字を入力できません。(例外に、エクセルがあります)

「文字入力カーソル」がワープロの画面から消えているときには、パソコンがそのウィンドウを見ていないか、文字入力を待っていないときです。
※以降、「文字入力カーソル」を、簡単に、「カーソル」と書きます。

例えば、マウスでワープロのウィンドウ以外をクリックしてしまったり、何かコマンド(メニューやツールバーにある)を実行してしまったり、キーボードのWindowsキーを押してしまったり、といろいろですが、とりあえずEscキー、それでカーソルが出なければ、次はマウスでワープロのタイトルバー(ウィンドウの最上部)をクリック、です。

マウスでワープロの画面「の中」をクリックしてもいいのですが、クリックすることでまた別の動きをしたり、カーソルがクリックしたところに表示されて、再度カーソル位置の調整が必要になる場合が少なくないので、一番無難なタイトルバーをクリックします。
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「ABC」の「A」のキーをちょんと押してみましょう。「あ」と出てきました。奇(く)しくも、アルファベットと、50音の初めの文字が一致しています。低学年では、これだけでけっこう盛り上がります。
キーを押す、と言いますが、押さえるのではなく、そっと触った指にちょっと力を入れる、と言ったらいいかも知れません。よく、「打つ」とか「叩く」と表現されますが、それほど力を入れなくても、文字を入力できます。

次に、「A」を3回押してみましょう。「あ」が4つになりました。一つに戻したいときは、書きすぎた字を「消しながら戻り」ます。それには、Backspaceキーを押します。押す度に、カーソルの前の字が消されて、カーソル位置が一つずつ「戻り」ます。

今度は、「A」を押しっぱなしにしてみましょう。すると、画面が「あ」だらけになります。キーを押さえてしまうと、何度も押したのと同じになります。一つずつ戻るにはBackspaceキーを使いますが、こういうふにたくさん一度に消したいときは、「困ったときのボタン」Esc キーを押します。全部の「あ」が消えた人と、いくつか「あ」が残った人とがいますね。

改めて「A」を押して、出てきた「あ」の字をよく見ると、(ワードなら)「あ」の下に点線が付いている(ATOK環境などでは青い字。未確定の状態)のがわかります。消えずに残っている「あ」の字の下には点線はついていません。Esc キーで消せるのは、点線がついている字だけです。
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では、「あ」についている点線はなんでしょうか。どうすると消えるのでしょうか。

パソコンには耳はありませんが、例えばみんなが「あ」という音を聞いたとき、どんな字かわかるでしょうか。ひらがなかカタカナか、漢字かわかりませんね。この点線は、いわば、パソコンが「耳」で聞いただけで、まだどんな字かわかりません、平仮名のままでいいですか?という印です。これを、「あ」というひらがなに決めるのが、「OKのボタン」Enterキーです。OKして決めてしまった字は、取り消しのボタンEsc キーで消すことができません。でも、「消しながら戻るボタン」Backspaceキーなら消すことができます。字を消すには、他にもまだやり方があります。(6) 参照)
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キーボードの「A」を押すと、「あ」になることがわかりました。次に「I」を押します。「い」になりました。「うえお」は、「U」「E」「O」です。これを続けて押して、「あいうえお」を完成させましょう。
Enterキーを押すと、字の下の点線が消えて、字が平仮名に「決まり」ました。

次の行にもう一度「あいうえお」と書くために、カーソルを下の表に持って行くときは、今書いている行を、その文字だけで「決める」、つまり、もう字を増やさない、という意味で、もう一度Enterキーを押します。カーソルが次の行に行きました。押しすぎてカーソルが下の方に行ってしまったら、Backspaceキーでもどります。

「あいうえお」の行をたくさん作って、この5つのキーを完全に覚えてしまいましょう。「AIUEO」のキーは、文字を「作るボタン」です。

※一太郎などのワープロで、マウスでクリックしたどの位置からでも、文字を書き始めることができるものがあります。これは、初期状態で、画面が半角のスペースで埋め尽くされている、というふうに考えることができます。この場合、任意の位置をクリックしてそこに文字を入力して、確定(Enterキー)したとたんに、既存の文字との間にある空白部分が半角スペース(未入力の行は、空行:行頭に改行マークが表示される)に置き換わります。ここでは、このやり方(好きな位置をクリックして文字を入力する)ではなく、必ず「改行」(Enterキー)で次の行に行く方法を覚えましょう。
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「あいうえお」と書いたつもりが、例えば「あいいうえお」のように、途中で字が多かったり間違えたりしたときは、いきなりBackspaceキーを使うと、せっかくちゃんと書けている字まで消えるので、書き直さなければなりません。

字を消すときは、カーソルを、消したい字の「隣」に持っていきます。消したい字の前でも後ろでもいいです。カーソルを移動させるには、マウスでクリックするか、キーボードの矢印キーを使います。(※)(次項参照)

Backspaceキーを押して「消しながら戻る」と、カーソルの前の字が消えて、カーソルは1文字前に移動します。一方、Deleteキーを押せば、カーソルの後ろの字が消えて、カーソルはそこの場所で動きません。字を消すのに使えるキーは、このように、2種類あります。カーソルの位置で、この二つのキーを上手に使い分けましょう。Deleteキーは、かたち作りのときも、「消すボタン」として出てきましたね。

※カーソル移動は、確定前でもあとでもいいのですが、確定前では、ワープロによって、カーソル移動したときの表示が異なるので、そのときは臨機応変に解説してください。説明しやすいのは、確定後での処理です。ただし、日本語変換で意図しない文字が出てきた場合は、確定しないで修正するのが、変換効率を上げることに繋がります。
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カーソルを好きな位置に置きたいときには、マウスでクリックするか、キーボードの矢印キーを使います。マウス操作が拙いうちは、クリックすると、1行全部真っ黒になったり、思う位置からずれてしまったり、クリックがドラッグになったりで、なかなか思う位置にカーソルを置くことができません。カーソルは、キーボードの矢印のキーで動かすことができるので、こちらも使って、覚えてしまいましょう。
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余分な字を消す方法を説明しましたが、逆に、「あうえお」のように、字が抜けてしまったときはどうすればいいでしょうか。これも、気が付いたときにBackspaceキーで戻ると、せっかくちゃんと書けている字を消すことになります。こういうときも、カーソルを、字を挟みたいところに持って行き、そこに抜けた字を書いて、必ずEnterキーで「OK」して直してから、カーソルを戻して、元の続きを書きます。
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5)で、「作るボタン」(AIUEO)を覚えました。では、他の平仮名はどうやったら画面に「書く」ことができるでしょうか。ここで、仲間を「決めるボタン」の出番です。

「決めるボタン」は、それぞれ、50音表の決まったグループの字を作るのに使います。
例えば、「かきくけこ」は、決めるボタンが「K」です。これは、「しくみのわかる50音表」の「かきくけこ」の欄を左に辿って見ていくとわかります。まず、このキーを押しておきます。次に、「作るボタン」を押しますが、どれを使うかと言えば、書きたい字を長く伸ばして言ってみるとわかります。「か」なら、伸ばすと「か〜〜〜ぁ」だから、「あ〜〜〜ぁ」と同じなので、「あ」つまり「A」です。「作るボタン」「A」を押すと、画面の「K」が「か」に変わって、平仮名を作ることができました。

「あいうえお」の次に、「かきくけこ」を作ってみましょう。初めは、「かかかかかか」とたくさん作ってみます。次に「ききききき・・・」。できてきたら、1行に「かきくけこ」と書きます。

順に、「サ行」「タ行」と進めていきます。子供ひとり一人の慣れに沿って、50音表をどんどん作っていきます。「ん」だけは特別に、「作るボタン」ではなく、「N」を2回押します。「ん」までできたら、もう一度「あいうえお」から順に書いていきます。
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清音の50音(一つ目の表)が書けるようになったら、次に、2番目の表、3番目の表を入力してみましょう。
鉛筆で書くとき、これらは、初めに清音を書いてから、「飾り」をつけます。ちいさい「やゆよ」は、それだけでノートのマスを一つ使います。
パソコンでは、これら「飾り」は、「決めるボタン」で決めておいて、「作るボタン」を押して、「飾り付きの字」として一度に作ります。小さい字や、点々、マルは、それだけ書いてあっても読めません。飾りとして元の字と一緒になって、初めて読めるので、パソコンでは、「作るボタン」を押してできる「読める字」を「1文字」と数えるのが、わかりやすいです。

小さい字には、「あいうえお」もありますが、低学年ではあまり出てこないことと、慣れてくれば50音表から探せるので、質問がなければ、説明は飛ばしていいでしょう。また、「う゛ぁ」行は、平仮名では使われないので、これも説明を省きます。

ここまで50音表に沿って字を書いてくると、飲み込みの早い子供は、「しくみ」がわかるようになってきます。そうしたら、今度は50音表から書きたい字を探して、「決めるボタン」と「作るボタン」をみつけて、自分の名前、友だちの名前、二人組になってパソコンの画面で「しりとり」をするなど、文字を使って遊んでみましょう。
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ちいさい「つ」も、原稿用紙では一ます使いますが、それだけでは読むことができません。これも、「飾り」です。他の飾りと違っているところは、元の字の「前に」つく飾り、ということです。これをつけるときは、「決めるボタン」の初めのキーを2回押しておきます。例外は「なにぬねの」です。これだけは、このやり方でちいさい「つ」をつけることができません。
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例えば、「あっ」と書くとき、「っ」の後ろには字がないので、「飾り」として「っ」を作れません。

通常、子音を2個並べると、「っ」と、その子音、という表示になりますから、そこでEnterキーを押して確定してから、Backspaceキーで余分な子音を削除すれば、結果として、「っ」を残すことができますが、余分な字ができる、という意味では、あまりスマートな入力法とは言えません。また、子音を2回入力しても、「っ」にならない場合もあります。

ちいさい「つ」だけを書くには、「つ:TU」の前に「L」または「X」を入力しておきます。「LTUまたはXTU」です。(※)「あっ」を書くときは、このようにキーを使います。

小さい字には、「っ」の他に、ア行、ヤ行の字があります。これらすべての小さい字は「L」または「X」を使うと、単独で書くことができます。ただ、「飾りではない」「っ」を書くとき以外で、「L」や「X」を使うと、キーを押す回数が増えるので、これもスマートとは言えません。

ローマ字入力は、平仮名を画面に表示する方便ですから、どんなやり方でも、平仮名を作ることができればいいわけで、「正しい」やり方、というのはありません。しかし、素早く日本語を入力することが最終目標ですから、できるだけ少ない労力(キーを押す回数)で目的が達成できることが望ましいです。効率よく平仮名を作れることが、素早い日本語入力に繋がるので、是非、「しくみのわかる50音表」を使って、「飾り」のついた字を早く覚えられるようにしましょう。

※「つ」は通常「TSU」でもいいです。
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