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ここでパチッ
 
5年生の図工の単元に、「ここでパチッ」というのがあります。
これは、普段見慣れた景色にちょっと加工することで、おもしろさが生まれることをねらったものですが、この中に、デジカメで撮った写真にパソコンで手を加えるやり方が紹介されています。
これを、パソコンのスキルという観点から見てみたいと思います。
せっかくパソコンを使うなら、スキル授業として活用したいものです。
 
まず、普通の画材を用いたお絵かきとパソコンでのお絵かきとの違いについてみてみます。
もっとも顕著なのは、アンドゥの機能でしょう。これは、加えた操作を取り消すことです。通常の画材では、絵の具を乗せたり切り取ったりした加工を全く取り除くことは不可能ですが、パソコンでは簡単な操作で元に戻すことができます。パソコンならではの機能です。
また、画面にある色と「全く」同一の色を使うことができる、ということです。ほとんど無数にあるという(通常256×256×256色)表示可能な色の中から、写真の中の特定の場所の色を選ぶことができます。どんなに巧妙に絵の具を混ぜ合わせても、すでにある色と全く同じ色を作り出すことは極めて難しいことです。
円や四角形など、きちんとした図形を描くこともパソコンが得意とするところです。
 
それから、デジカメの写真を加工する時と、通常のパソコンでのお絵かきとの違いです。
大きな違いは、塗りつぶし効果です。通常では、ある色で囲った部分は塗りつぶしツールで一瞬で色を付けることができますが、デジカメの写真の場合にはできません。
なぜできないかと言えば、塗りつぶしの操作を理解すればやさしいことです。
塗りつぶし、というのは、クリックした部分から隣り通しが同じ色をたどっていって、尽きるところまでの部分を選んだ色に置き換える処理です。お絵かきの画面のように、単純に単色で塗られている場合には塗りつぶすことができますが、写真では、極端な話、画素(写真を構成している一つ一つの点)ごとに色が異なるので、塗りつぶすことはできないのです。
また、デジカメの写真は、パソコンのなかではお絵かきソフトで作成したファイルとは異なった性質を持っています。( JPEG:ジェイペグ といいます。ペイントなどのお絵かきソフトで作ったものはBMP:ビットマップ です。)JPEGファイルは、ホームページなどで写真を載せる時に主に使い、ファイルの大きさはBMPよりずっと小さくできます。ここで言うファイルの大きさとは、画面で見える大きさではありません。ファイルが持つデータとしての大きさです。(簡単に言えば、フロッピーディスクに何枚はいるか、というような大きさのことです。)BMPファイルは拡大するとモザイクがかかったようになりますが、JPEGファイルはそう見えにくい性質を持っています。
JPEG(jpg)ファイルにお絵かきソフトで線を描いてから保存すると、その線がぼやけます。(目で見て大丈夫でも、パソコンのなかではぼやけた情報しか持っていません。)従って、保存するまでは単色の領域なら塗りつぶしができていますが、一度保存するとたとえ単色の領域でもうまく塗りつぶすことができなくなります。
 
このように、デジカメの写真をパソコンで扱おうとしたときには、通常の画材を使ったお絵かきとは全く異なったものだと思わなくてはならない部分がたくさんあるのです。
見方を変えれば、これがパソコンで写真を扱う時のおもしろさ、とも言えますし、これを上手に扱うことがパソコンスキルに通じてくるのです。
 
写真に、お絵かきソフトが備えている特殊効果やスタンプをそのままちりばめたものでは、個性に乏しく、図工の評価としてはどうでしょうか。また、使うなら初めに書いたようなパソコンのおもしろさを備えたお絵かきソフトを使って欲しいものです。
つまり、アンドゥや、スポイト機能などです。
Windowsに標準で備えられている「ペイント」は、こういう意味では使えるソフトだと思っています。アンドゥは3回まで使えますし、スポイト機能も備えています。特殊効果やスタンプはありませんから、自分の力で絵を構成するには適しているのではないでしょうか。(ペイントもそこそこの「効果」は持っています。)
もちろん、特殊効果やスタンプはそれなりに上手に活用できればおもしろい作品を作ることができるのは言うまでもありません。
ペイントのこれ以外の機能については、「『パソコンクラブ通信』その6 ペイントを使いこなそう」を参照してください。
 
ありきたりの景色が、思いもかけないおもしろさを持つことができるという、「ここでパチッ」。スキル授業の一つとしてやってみませんか。
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