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情報教育とスキル授業
 
平成15年6月26日
情報教育アドバイザー
広田さち子
 
情報教育とは何でしょうか。
平成14年6月文部科学省の資料「情報教育の実践と学校の情報化」では、情報教育の目標としての「情報活用能力」の育成を、
・「情報活用の実践力」
・「情報の科学的理解」
・「情報社会に参画する態度」
の三つに整理できること(序章の第2章 ほか)、特に小学校においては
○「情報活用の実践力」の育成に焦点を当てて、情報手段に慣れ、親しませつつ、その適切な活用体験を持たせることが大切である。(第2章 第2節 1.)
とあります。また、情報教育は「生きる力」の育成につながるものだともしています。
 
よく勘違いされることですが、パソコンを使っていれば情報教育か、ということです。これは間違いです。「情報活用の実践力」で言われていることは、パソコンは情報機器<の一つ>であり、機器の使い方を教える<前に>それを使うかどうかの取捨選択を教えることが大切だということです。自分にとって必要な情報が何なのかを把握し、それを収集・加工し、適切に発信する流れのそれぞれの段階での手段の一つとして位置づけられるべきものなのです。だから、初めから<パソコンを使って>○○する、というのは本来の情報教育の授業とは言えません。
とは言え、「手段(道具)」として見るためには、その道具で何ができるのか、まず、使い方がわからなければ選ぶこともできません。それだけでなく、相応の使い方ができるように訓練しておく必要もあります。
つまり、スキル授業はこのためにあるのです。逆に、<パソコンを使って>○○する、という場合は、むしろスキル授業と思い、そこで何らかのスキルアップを図れるように考慮すべきです。
 
高学年においてパソコンが適当な手段(道具)として機能できるためには、低学年から計画的にスキルの蓄積を目指した授業を組んでいくことが有効だと考えています。
 
スキル授業を進める上で私がもっとも大切にしていることは、「パソコンと上手に会話する」ということです。パソコンからのメッセージである画面表示(と音)とに注意する習慣を養うだけで、遙かに快適にパソコンが道具として生きてきます。画面でのポイントとしては、
マウスポインタの形、アクティブウィンドウ表示、反転表示、ステータスバー、各アプリケーションの画面構成、枠の選択(ハンドルの有無)、カーソル表示、ツールバーのボタン表示
などです。子どもたちが行き詰まっている時に、これらのパソコンからの情報に注意を向けることを促すような指導をしていくうちに、自然に慣れてきて、自分で判断できるようになります。決して、説明なしに教師が手を出してはいけません。
次に、課題の量・質については、「楽しく」「無理なく」をキーワードにしています。同じ絵を描くにしても、現実にあるものを描くのと空想のものを描くのとでは、気持ちの負担が大きく異なります。文字入力でも、同じ文字数を練習するにしても、しりとりをするのと教科書を写すのとでは取り組む姿勢は雲泥の差です。
特にこの課題選択については、スキルアップの授業と教科とを絡ませることができる部分になります。
スキル授業での課題は、完成することではなく、その作成課程で何を身に付けて欲しいかが問題になります。従って、時間内に完成させるために教師が手を出してしまったり、休み時間での作成を強制したりすることがないようにします。時によっては、未完成のまま終わってもいいのです。もちろん子どもの方から昼休みなどの希望があれば対応したいですが。子ども自身の興味、スキルに差がある以上、同じ時間内で同じように課題を完成させることは現実には不可能です。早く課題を終了した子どもに「あそび」を許すことで、他の子どもたちの完成に拍車を掛けることが有効な場合があるのも事実ですが、これは最後の手段です。(「あそび」とは、教材CD-ROMとか、ゲーム性のあるキーボード練習などのことです。)
 
このように、スキル授業においては、あくまでもスキルアップが目標で、パソコン授業が子どもたちの負担になるようなことがないように、いつも気をつけるように心がけたいです。
 
パソコンを使った授業については、「情報教育(教育の情報化)」としてもう一つの目標があります。それは、
○各教科等の目標を達成する際に効果的に情報機器を活用する
(前記資料の第2章 第1節 1.)
ことです。ここで言う情報機器は、必ずしもパソコンに限りませんが、各教科でパソコンを使うことで、「わかる」授業をアレンジすることにつなげる可能性があります。このことについては別資料(『パソコン授業の勧め』5.こんなことができます)を参照してください。
 
一日の授業の中のいろんな場面で、パソコンが活用されるようになってくるといいと思っています。自然にパソコンに親しむことができて、道具として馴染みのあるものになって欲しいです。
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