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ものがたりをつくろう
 
1.単元の趣旨
(1)パソコンスキルとして
文字入力の練習。
文字入力は子どもたちには大変おもしろい作業ではあるものの、そのスキルには個人差が大きい。同じ分量を文字入力しようとすると、速い子どもは、そうでない子どもの完了を待つ時間が多くなる。ここでは、子どもたちの方がパソコン間を移動して物語を続ける、という作業を通して、すべての子どもが常時パソコンに向かって、各自の能力いっぱいに作業できるようにした。
また、画面上の文章を読み、それに対して自分の文章をつなげてパソコンに書く(入力する)、という、パソコン上での文筆活動を訓練することにもなり、情報端末としてパソコンを活用する基本を身に付けることができる。
(2)情報教育、その他の教科として
物語の流れを受けて、前の文に続けて物語を発展させたり、まとめの文章や題名を作ることで、文章を読む力、綴る力を確認し、さらに、まとめた物語に対し、ふさわしい挿し絵をイメージして描くという、国語や図工とも絡めた単元。
完成した物語をみんなに読んで聞かせることで、音読や発表といった力の確認もできる。
また、文字入力スキルに差があっても、空いているパソコンに座って物語を続ける、という作業を通して、すべてのパソコンの物語がそれなりに進んでいくことになるので、1つ1つの物語の文章量がならされるといういい面もある。
情報教育としては、文章の中に、「人のいやがることを書かない」ことを意識できるよう指導する。自由に文字入力をしていると、得てして意味のない文字列を並べてしまったり、個人名を挙げて文を作ったり、ふさわしくないものやことを書きがちである。ある程度自由にさせた結果を子どもたちと検証する時間的余裕を持ちたい。
また、こういうふうに文を繋げていくことは、インターネット上の掲示板やメーリングリストに通じる作業として見ることができる。こういった、匿名性が高く、誰が見ているかわからない場面においても、適切な対応ができるように、早めに訓練することも大切である。こういう意味では、記名しても奔放に文章を綴る3〜4年生ぐらいでの実施が適当と思われる。
情報モラルとしては、更に、すでに書かれた文章に対して改ざんしない、という指導も可能になる。

2.対象学年
3年〜4年

3.所用時数
物語作成(2〜3)(できれば検証(1)に加えて、しきり直しでさらに(2〜3))
まとめの文章と題名、挿し絵作りとレイアウト(1〜2)
出来上がった作品の発表(1〜2)

4.使用ソフト
ジャストスマイルのワープロ(お絵描き含む)
※このほか、ワープロソフトなど、文章が綴れて、描いた絵が挿入できるもの。この場合別途お絵描きソフト使用。

5.関連するパソコンスキル
(1)既習のスキル
文字入力
お絵描き(スムースなマウスコントロール)
文章に絵を挿入して、フォントなどを変更し、文書としてのレイアウトを整える
保存・開く(ファイル操作)
(2)ここで更に身に付けたいスキル
主として既習のスキルの定着を計る。
改行で1行挿入できることがわかる。(題名)
印刷を考えてレイアウトする。
パソコン上で文章を読んで綴る(パソコン上での文筆活動の基本)

6.情報教育および、他教科への関連づけ
物語のはじめの文、終わりの文、題名を作る。(国語)
物語の流れを受けて、前の文に続けて、物語をつなげる文章を綴る。(国語)
人のいやがることを書かない。(情報)
改ざんしない(情報)
物語にあった絵を考えて描く。(図工) 
発表する(国語・情報)

7.単元構成
(1)物語を作る(2〜3時間)
ワープロソフトで、まずはじめに物語のはじめの文を考えて入力し、保存しておく。(ワークシート使用)
保存できたら席を立って、別のパソコンへ行き、そこのパソコンの物語の続きを書く。このとき、文を書いたら最後に記名する。
作業が複数時に渡るときは、開いた都度自分の文章を挟んでもよい。(途中の文章では、自分のパソコンでも記名)
1時間の終わりには、自分の席に戻り保存作業。
(2)物語を読む(0.5〜1時間)、作り直す(2〜3時間)
物語のすすみ具合を見て、ふさわしくないケースがあれば、全員で読みあって、「誰かをいやな気持ちにさせない」物語を考える。時には、困って続きが書けなくなるようになることもあるので、そういう場合にはしきり直す。(9.参照)
自由に物語を書かせてみて、特に問題の起こらない場合もある。クラスによって差があるようなので、この項目は臨機応変に対処してほしいです。
改ざんについては見抜けない場合もあるので、注意して見ていることも大切。書き換えたい場合には、書いた本人と先生に必ず確認することで、対処。
(3)物語の最後の文と題名を付けて、挿し絵を描く(2〜3時間)
ある程度時間をとって物語ができてきたら、自分の席に戻りまとめの文章を追加する。最後に題名を考えて書く。題名は文書頭で改行して1行挿入して書く。印刷したときのことを考えて、文書末には自分の姓名を記入しておく。
出来上がった物語にふさわしい挿絵を考えて描く。
※ジャストスマイルのワープロでは、描いた絵は自動的に元の文書に挿入されるが、そうでない場合には、絵の保存と挿入操作が必要。
(4)レイアウト・印刷(0.5〜1時間)
だいたいA41枚で収まる。文が多いときは絵を小さくしたり、文が少ない場合にはフォントを大きくするなどして、1枚に絵と文がバランスよく収まるようにする。できたら印刷。このとき、無駄に2ページになっていないことを確認する手段も覚える。
(5)朗読会(1時間)
印刷したものを、一人ずつ朗読。このとき、挿し絵の部分をプロジェクタで投影しながら読むと面白い。先生が講評を加えることで、励みにもなる。

8.ワークシート
ものがたりをつくろう(最初の文の5W1Hを記入する。2行目以降も記入できるようになっているが、使わなくてもよい。)

9.指導のポイントになること
・物語のはじめ
最初の文は、物語を始める上で大切である。これには、ワークシートを用いて、物語の舞台設定になるように、5W1Hを意識して書くようにするとよい。ワークシートに記入したものを先生がチェックして、OKならパソコンに入力する。
・物語を進める
二つ目以降の文章は、入力した文のあとに、記名させる。
記名しても、自由に書かせると次のようなケースが起こりがちである。これらのケースが見られる場合には、子どもたちと読みながら、どうしたらいいか考える。ただし、こんなふうに書くのが特定の子どもの場合もあるので、紹介するときは匿名にすることも考慮する。クラス内での紹介にとどめる。
前の文と全くつながらない。物語が飛躍する。
直前の文しか見ていないで書く。
前に書いてあることの繰り返し。
登場する誰かが怪我をしたり死んだり、破壊したりする。
キーの乱打による文字列や、擬音、長音、記号などの無意味な羅列。
排泄物など、ふさわしくないと思われるものを登場させる。
クラス内などの個人名を不適切に使う。
・物語の仕上げ
全体の文章を読んで、最後の文を考える。めでたしめでたし、で終わらなくてもよいが、しっかりまとめられるとよい。
最後の文が書けた時点で、物語にあった題名をつける。題名を書く1行目が空いていないので、カーソルを先頭に持って行って改行し、1行空ける。マウス操作はマウスカーソルが矢印の時にはその先端であるのと同じに、文字入力なら、点滅するカーソル(縦棒)の位置にキーボードの文字が入る(挟まる)ということを、しっかり覚える。
・挿し絵
物語にあった絵を考える。お絵かきソフトにもよるが、スタンプなどが豊富なものでは、それらを並べただけで絵を描いたことになってしまう場合が少なくないので、スタンプはあくまでも「飾り」であることを確認する。
また、高機能のソフトでは、様々な「効果」を加えたり、お絵描きツールとして視覚効果の高い道具を備えているものがあって、お絵描き自体が遊びになりがちで、挿し絵作成ツールとしてふさわしくない場合もある。また、簡単に全部白紙に戻すことができるときは、消すことも遊びになってしまうので、注意する。 MSペイントなど、機能的にシンプルなソフトを使ってもよい。
文書への挿入の仕方は、ワープロソフト、お絵描きソフトによって異なるので、あらかじめ確認しておく。
図工の課題として、絵の具などで描いたものをスキャナで取り込んでも面白い。ただし、この場合には、解像度が高くなりすぎないように注意する。(ファイルサイズに影響する場合がある)
・レイアウト
文字サイズは、個別に(文字単位で)指定するより、ページ全体に一括設定する方が楽。それぞれのワープロソフトで操作方法が異なるので、あらかじめ確認しておくとよい。できるだけ子ども自身で操作するようにしたい。
印刷の時点で無駄な「次ページ」がないことをよく確認。(改行だけでも1ページ追加される。)
文書に絵を挿入すると、たいてい絵が文字を押しのける形になる。1ページが画面いっぱいに表示できる形にして、印刷イメージを確認しながら作業できるとよい。
・発表
発表の態度(声の大きさや間の取り方)や、聞く姿勢だけでなく、物語を読み聞かせるところまで意識できるとよい。
物語の作成途中で特に問題なく進行しているようでも、詳しく見ると先に書いたような問題が少なからず見つかる。(上記「物語を進める」) 最後のまとめとして、子どもたちにこういったことを確認させるように心がけたい。

10.そのほか
・既習のスキルとして、文書のレイアウトを挙げているが、これは、2年生で、既存の詩や自分の詩を入力して絵を描く、という単元において、絵の挿入やフォントの変更などを経験しているため。
・物語作成の途中経過を検証する際には、あらかじめいくつかの物語をパワーポイントなどのプレゼンスライドにしておくとよい。一つの物語を1枚のスライドにして、1文ずつ表示できるようにアニメーションを設定しておく。これを一つずつ見せながら、いい点・よくない点をみんなで考える。記入者の名前は消しておく。
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