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卒業記念制作
 
卒業を機に作るものの中に、卒業文集があります。文集と言っても、それぞれが作文を書いてまとめる、という形以外にも、各自が「新聞」の形で書きたいことを1ページにまとめたり、いくつかの項目でアンケートを採った結果を載せたり(例えば、生まれ変わったら何になりたい?のような)、と、様々な工夫を凝らして作られます。
こういった文集は、職員室用に何部か残されるものの、ほとんど卒業生が持ち帰ります。
 
ここでは、在校生が見ることを前提とした卒業文集について、考えてみます。
もちろん、卒業生も持ち帰りますが、学校に残せるものを制作すると、後々までも残るので、特に在校生たちに向けたメッセージとして「相手を意識した」物作りを学ぶことができます。
在校生は、どうやってこの卒業文集を見るかと言えば、一つは図書室などに置くことです。もう一つは、デジタルコンテンツとして、パソコン室や教室のパソコンでいつでも見える場所に置くことです。
私は、子どもたちひとり一人がホームページの形で作り、まとめてパソコン室でいつでも参照できるようにしました。作品作りには、イントラバケッツというソフトを使いました。こういう形だと、作ったものをCDに焼いて持ち帰ることもできます。
 
在校生がいつでも見ることができるような「卒業文集」には、どんな内容があるといいでしょうか。また、それらの内容を残すなら、何に気をつけることが大事でしょうか。
内容の例としては、どんな卒業生がいたのかな、ということ。顔は知っていて、ちょっと怖そうだったけど、ほんとはどんな人だったのだろう、といった思いに応える。
次は、卒業に当たって、どんな思いでいるか、ということ。
また、その卒業生にとって、小学校生活がどんなだったか、ということ。
こういった内容などで、在校生が知りたいことが伝わるように書くことです。
 
これらを、4つの項目としてまとめてみます。
 
『自己紹介』
もちろん、自分自身を紹介するものです。
子どもたちに「自己紹介を書きましょう」と言うと、たいてい
誕生日・星座・血液型・好きなこと(アニメ・食べ物・色・教科・アイドル・テレビ番組・・・)・嫌いなこと(教科・食べ物・・・)
などを羅列したものになります。
しかし、これでは、読んでもおもしろくありません。初めの三つは、自分で決められるものではなく、一度教えたら、二度教えることではないです。自己紹介は、するだけでなく、覚えてもらえるような自己アピールにしてもらいたいと思います。それは、次のようなことです。
・好き嫌いに関することなら、好き(嫌い)になったきっかけや理由、その中でも特に好き(嫌い)なもの
・好き嫌いは書いてあっても、「得意なこと」は書いていないことが多いです。教科など、「○○ならまかせて」といった自慢があると、印象に残ります。
・他の人にないことを書いても、おもしろいです。隠れた秘密、でもちょっと自慢したいな、といったことです。スポーツなどの特技でもいいし、収集、趣味、凝っていること。
<例>
 かけっこで1番とれなかったら、1週間落ち込む
 算数のある日は、月に1回でいい
 サッカーのことなら、知らないことはないから、何でも聞いて!
 
『思い出の一コマ』
小学校の思いで、というタイトルにすると、1年生は担任が誰で、何の係をして・・・、と、これも1年生から6年生までの箇条書きになりがちです。思い出、というより、履歴書みたいですね。また、修学旅行などの行事について、「楽しかった、夜更かしして遊んだ、お土産をいっぱい買った」といった言葉が並んでいたりします。これでは、みんなが同じになってしまいます。そうではなく、自分だけの思い出を綴ってほしいです。
・縦割りの班活動で、下級生をほめてあげたら、とってもにこにこして、自分までうれしくなった。
・運動場の一角で、毎年きれいな花の咲く草を見つけた。
・1年生の時、思い切って初めて手を挙げたら指されて、うまく答えられなかったけど先生にほめてもらったので、自信がついた。
・プール掃除をしたら、思いもかけない拾いものがあった。
・1年生に落とし物を届けたら、すごく喜んでくれた。
 
『残したいひとこと』
在校生に向けたメッセージ。
次の学年への申し送りでもいいでしょう。自分はこうだったけど(だったから)、次からは、こうしたらどうだろう、など。
・下級生に/クラスメートに/家族に/世の中に
・自分自身の座右の銘/決心/つぶやき/ぼやき/ひとりごと
・修学旅行で、押さえておきたいポイント。見逃してはいけないところ、準備でどうしても必要なこと、忘れてはいけないもの(忘れて困ったもの)、お土産のお勧め、など。
・委員会の仕事で、こんなことをしたかったけれど、やりきれなかったので、是非引き継いでやってほしいこと。
・運動会で、自分はこんなことをがんばって、すごくたいへんだったけど、とても充実した運動会になった。「運動会を150%楽しむ法」とか。
・学校生活で、こうだったらいいのに、といつも思っていたことがあって、こんな提案をしたいんだけど。
 
『将来の夢』
よくあるのは、「○○になりたい」という、職業を書くもの。それもいいけれど、それなら、なぜその仕事に就きたいのか、きっかけや理由、その仕事に就いたらやりたいことなどが書かれているといいです。
また、大人になったとき、こんな世の中になっていたらいいな、という未来像もいいです。そんな未来に、どうやったらなるのか、夢を現実にしたい、という希望も書けます。
・自分の未来像、世の中との関わり、といった現実的なこと
・未来の世界はこうなっている、のような理想(空想?)
・こんな世界を作りたい、という抱負
 
いかがでしょうか。
箇条書きの形で、たくさんのことを羅列して終わりになりがちな、これらの事柄も、一つずつよく考えて、在校生にわかるように説明しようとしていくと、小学校生活を振り返り、在校生を思いやり、将来への思いを確かなものにできるのではないでしょうか。
 
なお、ここでは画像(写真)についての考察をしていませんが、もちろん、百聞は一見にしかず、文章を補完できるものを適切に選ぶことも大事です。
行事が楽しかったからと言って、指を二本立ててにこやかな表情の子どもたちが写っているものばかりでは、具体的に何を伝えたいかが見えてこないし、個性も出ません。
画像を選ぶことも、伝えたいことを確実に伝えるための、重要な作業です。
そのためにも、これらのことを念頭に、年間を通して、行事だけでなく、ほんとうのふだんの生活を画像として残してやることは、子どもたちを見守る者としての務めの一つだろうと思います。
 
H22.5.27
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